日本一の標高を誇り、その美しい姿で世界中の人々を魅了する富士山。「日本の象徴」とも言えるこの山ですが、その火山としての活動状況について、正確な知識をお持ちでしょうか。「富士山は活火山なの?それとも休火山なの?どっちが正しいの?」と疑問に思う方は少なくありません。
特に、学校で「富士山は休火山である」と習った記憶がある世代の方にとっては、現在の常識とのギャップに驚かれることも多いはずです。実は、火山学の進歩とともに、火山の分類や定義は大きく変化してきました。かつて「休火山」や「死火山」と呼ばれていた山々も、現在ではその呼び名が使われなくなっています。
この記事では、富士山が現在どのように定義されているのか、なぜ「休火山」という言葉が消えたのか、そして万が一の噴火に備えて私たちが知っておくべきリスクと防災対策について、徹底的に調査し解説します。8000文字を超える詳細な情報を通じて、富士山の「今」を正しく理解し、正しく恐れるための知識を深めていきましょう。
富士山は活火山と休火山のどっち?現在の定義と過去の分類
結論から申し上げますと、現在の定義において富士山は「活火山」です。「休火山」でも「死火山」でもありません。しかし、なぜ多くの人が「富士山は休火山ではなかったか?」という疑問、あるいは記憶を持っているのでしょうか。そこには、火山学の発展に伴う定義の変遷と、教育現場での記述の変化が深く関係しています。
ここでは、気象庁や火山学者たちが定める現在の「活火山」の定義、かつて使われていた用語が廃止された理由、そして富士山が活火山として再認識されるに至った経緯について、詳しく掘り下げていきます。
気象庁による現在の定義と活火山の基準
現在、日本において「活火山」とはどのように定義されているのでしょうか。気象庁および火山噴火予知連絡会は、2003年(平成15年)に活火山の定義を見直し、以下のように定めました。
「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」
これが現在の公式な活火山の定義です。この「過去1万年以内」という期間設定が非常に重要なポイントです。
以前の定義では、「過去2000年以内に噴火した記録がある火山」や「現在活発な噴気活動がある火山」のみを活火山としていました。しかし、地質学や年代測定技術の進歩により、火山活動の寿命は人間が考えるよりもはるかに長いことが分かってきました。数千年、あるいは数万年という長い眠り(休止期間)を経て、再び活動を再開する火山が珍しくないことが明らかになったのです。
この「1万年」という期間は、地質学的な時代区分である「完新世(かんしんせい)」に相当します。つまり、直近の地質時代において活動の痕跡がある火山は、将来も噴火する可能性があるとみなすべきだという考え方が国際的にも主流となりました。
この定義変更により、日本国内の活火山の数は大幅に増加しました。2024年現在、日本には111もの活火山が存在します。富士山ももちろん、この中に含まれています。富士山は約300年前の宝永噴火(1707年)以降、静穏な状態を保っていますが、1万年という長いスパンで見れば、非常に活発な活動を繰り返してきた若い火山であり、現在も地下深部にはマグマだまりが存在すると考えられています。したがって、科学的な定義において富士山は疑いようのない「活火山」なのです。
「休火山」「死火山」という言葉が消えた理由
「昔は休火山や死火山という言葉があったはずだ」と記憶されている方は、決して間違っているわけではありません。昭和の時代、火山の分類は以下の3つに分けられていました。
- 活火山: 現在噴火している、または噴気活動が活発な火山。
- 休火山: 有史(歴史記録が残っている時代)以降に噴火の記録はあるが、現在は活動していない火山。
- 死火山: 有史以降に噴火の記録がなく、火山としての活動を終えたと考えられる火山。
富士山は、最後の噴火が1707年であり、それ以降は目立った活動が見られなかったため、長らく「休火山」の代表格として扱われていました。しかし、現在では「休火山」や「死火山」という区分は学術的に廃止され、使われていません。これには明確な理由があります。
最大の転機となったのは、1979年(昭和54年)の御嶽山(おんたけさん)の噴火です。長野県と岐阜県にまたがる御嶽山は、有史以来の噴火記録がなかったため、当時は「死火山」と信じられていました。しかし、その「死火山」が突如として水蒸気爆発を起こしたのです。さらに研究が進むと、過去数万年の間に何度も大規模な噴火を繰り返していたことも判明しました。
この出来事は、当時の火山学者や防災関係者に大きな衝撃を与えました。「有史以降の記録がない=活動終了」と判断することの危険性が露呈したのです。日本の歴史記録は長くても2000年程度に過ぎませんが、火山の活動サイクルは数万年、数十万年というスケールです。人間の短い物差しで「死んでいる」と決めつけることは、防災上極めてリスクが高いことが分かりました。
同様に、「休火山」という言葉も誤解を招く表現でした。「休んでいる」という言葉の響きから、「当分は噴火しない安全な山」「活動が終わった山」という安心感を与えてしまいがちです。しかし実際には、数千年の休止期間を経て大噴火を起こすこともあります。「休んでいる」のではなく、単に「エネルギーを蓄えている期間」である可能性が高いのです。
こうした背景から、1990年代以降、学術界や気象庁は「休火山」「死火山」という用語の使用を廃止しました。そして、将来的に噴火する可能性がある火山はすべて「活火山」として一括りにし、その中で活動度やリスク評価を行うという方針に転換したのです。
富士山が活火山に分類されるようになった背景と経緯
富士山が「休火山」から「活火山」へと認識を改められた背景には、定義の変更だけでなく、富士山自体の詳細な調査研究の成果もあります。
2000年代初頭、内閣府に設置された「富士山ハザードマップ検討委員会」などにより、富士山の過去の活動履歴が詳細に調査されました。ボーリング調査や地層の解析によって、富士山は過去数千年の間に、私たちが想像するよりもはるかに頻繁に噴火を繰り返していたことが明らかになったのです。
具体的には、過去3200年間の地層を調べただけでも、100回以上の噴火が確認されています。これを平均すると、約30年に1回という高い頻度で噴火していたことになります。平安時代には「貞観噴火」などの大規模な活動があり、江戸時代の「宝永噴火」も記憶に新しいところです。
現在の300年という静穏期間は、富士山の長い歴史の中では「たまたま活動が止まっているだけの期間」であり、むしろこれほど長く沈黙していること自体が、次の噴火に向けたエネルギーの蓄積を示唆しているとも捉えられます。
2003年の活火山定義の見直しにより、富士山は正式に活火山としてランク付けされました。気象庁の分類では、過去1万年間の活動度や最近の噴火実績に基づき、活火山をA・B・Cの3ランクに分けていますが、富士山はランクB(活動度が中程度の火山)に分類されています。「ランクBだから安心」というわけではなく、数百年単位の活動休止期があるものの、一度活動を始めれば大規模な噴火を起こすポテンシャルを持っていることを意味しています。
教科書の記述の変化と世代間の認識ギャップ
「富士山は休火山」と習った親世代と、「富士山は活火山」と習う子供世代。この認識のギャップは、まさに教科書の記述の変遷を映し出しています。
文部科学省の学習指導要領や教科書の記述も、学術的な定義変更に合わせて改訂されてきました。おおよそ1990年代後半から2000年代初頭にかけての理科や地理の教科書から、「休火山」「死火山」という言葉が姿を消し始めました。
現在30代後半以上の方は、「富士山=休火山」と暗記した記憶が強いかもしれません。一方で、現在の10代、20代の若者たちは、最初から「富士山=活火山」として教育を受けています。家庭内での会話や、職場での雑談において「えっ、富士山って休火山じゃないの?」という会話が生まれるのは、こうした教育内容の変更が原因です。
このギャップは単なる知識の違いにとどまらず、防災意識にも影響を与える可能性があります。「休火山だから大丈夫」という古い認識を持ったままでは、いざという時の避難行動や備えに遅れが生じる恐れがあります。そのため、大人は自らの知識をアップデートし、最新の科学的知見に基づいた認識を持つことが重要です。
現在は、学校教育だけでなく、博物館やビジターセンターなどの社会教育施設でも、富士山が活火山であること、そして将来必ず噴火するという前提での展示や解説が行われています。
活火山としての富士山のリスクとは?噴火の歴史とハザードマップ
富士山が活火山であることは間違いありません。では、具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか。それを知るためには、過去に富士山がどのような噴火をしてきたのか、そして最新のシミュレーション(ハザードマップ)がどのような被害を予測しているのかを知る必要があります。
富士山の噴火は、美しい円錐形の山頂から静かに煙が出るだけとは限りません。山腹からの溶岩流出、大量の火山灰、火砕流など、多様な現象を引き起こす「デパートのような火山」とも言われています。ここでは、過去の事例と最新の予測から、そのリスクの全貌に迫ります。
過去の噴火活動と貞観・宝永の大噴火
富士山の歴史は噴火の歴史です。特に、有史以降に残された記録の中で、私たちが教訓とすべき2つの巨大噴火があります。それが平安時代の「貞観(じょうがん)噴火」と、江戸時代の「宝永(ほうえい)噴火」です。
貞観噴火(864年~866年)
平安時代初期に発生したこの噴火は、大量の溶岩を流出したことで知られています。山頂からではなく、北西斜面の山腹(現在の山梨県側)で割れ目噴火が発生しました。 この時流れ出た膨大な量の溶岩は「青木ヶ原溶岩」と呼ばれ、当時の大きな湖であった「剗の海(せのうみ)」の大半を埋め尽くしました。埋め残された部分が、現在の「西湖」と「精進湖」です。そして、冷え固まった溶岩の上に長い年月をかけて森が再生したのが、現在の観光名所でもある「青木ヶ原樹海」です。 貞観噴火の教訓は、「山頂以外からも噴火する」ということ、そして「溶岩流が広範囲に到達し、地形すら変えてしまう」ということです。もし現在、同規模の噴火が起きれば、山麓の市街地や交通網(高速道路や新幹線など)は壊滅的な被害を受ける可能性があります。
宝永噴火(1707年)
富士山の最新の噴火であり、江戸時代に起きた非常に爆発的な噴火です。この噴火の特徴は、溶岩の流出が一切なく、代わりに大量の火山灰と軽石(スコリア)を放出したことです。 噴火は南東斜面(現在の静岡県側)で発生し、現在の富士山のシルエットの特徴的な「こぶ」である宝永火口を形成しました。噴煙は成層圏まで達し、偏西風に乗って東へ広がりました。当時の江戸(現在の東京)にも大量の火山灰が降り注ぎ、昼間でも夜のように暗くなったと記録されています。 降灰の厚さは江戸市中で数センチにも及び、農作物の全滅、用水路の埋没、呼吸器疾患の蔓延など、深刻な社会混乱を引き起こしました。現代において同規模の噴火が起きれば、首都圏の交通麻痺、電力インフラの停止(送電線への付着によるショートなど)、電子機器の故障、上下水道の機能不全など、貞観噴火とは異なる種類の、しかし極めて広範囲に及ぶ都市型災害となることが予想されます。
最新のハザードマップ改定と想定される被害範囲
富士山の噴火リスクを具体的に可視化したものが「富士山火山防災マップ(ハザードマップ)」です。このハザードマップは、2021年(令和3年)3月に17年ぶりに全面改定されました。この改定は、最新の研究成果を反映したものであり、従来よりも想定される被害範囲が拡大したことで大きなニュースとなりました。
改定のポイント1:想定火口範囲の拡大
以前のハザードマップでは、噴火口ができる可能性のある範囲(想定火口範囲)は主に山頂周辺や特定の斜面に限定されていました。しかし、過去の噴火跡を詳細に調査した結果、山頂から離れた低い標高の場所や、これまで想定されていなかった場所でも噴火が発生していたことが判明しました。 これにより、新たなハザードマップでは、「どこで噴火してもおかしくない範囲」が、山頂を中心とした半径約4kmの範囲だけでなく、山麓の広範囲にまで拡大されました。市街地のすぐ近くで噴火口が開く可能性も否定できないという、衝撃的な内容となっています。
改定のポイント2:溶岩流到達予測の拡大
火口範囲の見直しに伴い、溶岩流が到達する可能性のある範囲も大幅に拡大しました。従来の想定よりも溶岩の流出量が増えるケースもシミュレーションに含まれました。 具体的には、静岡県や山梨県の多くの市街地が到達範囲に含まれただけでなく、神奈川県の一部(相模原市など)にも溶岩流が到達する可能性があることが示されました。溶岩流はゆっくり流れるイメージがあるかもしれませんが、地形や噴出量によっては時速数十キロに達することもあり、避難の猶予時間が従来考えられていたよりも短くなる地域もあります。
改定のポイント3:中小規模噴火への警戒
大規模な噴火(宝永クラス)だけでなく、より頻度の高い中小規模の噴火についても詳細なシミュレーションが行われました。大きな噴石、火砕流、融雪型火山泥流(噴火の熱で雪が解けて発生する泥流)など、現象ごとのハザードマップが整備され、それぞれの現象に対してどの範囲が危険かがより明確になっています。
この改定されたハザードマップは、単に「危険な範囲が増えた」と恐れるためのものではなく、「どこに逃げればよいか」「どのくらいの時間で避難すべきか」を具体的に検討するための重要なツールです。関係自治体のホームページで公開されていますので、一度確認しておくことを強くお勧めします。
噴火の前兆現象と現在の観測体制について
「明日いきなり噴火するかもしれない」と不安に思う方もいるかもしれませんが、一般的にマグマ噴火には何らかの「前兆現象」が伴います。地下からマグマが上昇してくる際には、岩盤を割るための地震が発生したり、山体が膨らんだり(地殻変動)、火山ガスの成分が変化したりします。
現在、富士山は日本で最も厳重に監視されている火山の一つです。気象庁、防災科学技術研究所、大学などの研究機関が連携し、24時間体制での観測が行われています。
- 地震計: 火山性地震や微動を感知します。
- 傾斜計・GNSS(GPS): マグマの上昇に伴うわずかな山体の膨張や隆起をミリ単位で測定します。
- 空振計: 噴火に伴う空気の振動を捉えます。
- 監視カメラ: 噴気の状況や表面の変化を目視で監視します。
これらの観測データはリアルタイムで気象庁に送られ、異常があれば直ちに「噴火警報」や「噴火予報」として発表される仕組みになっています。
現在の富士山の噴火警戒レベルは、5段階中の「レベル1(活火山であることに留意)」です。これは、直ちに噴火する兆候は見られないものの、活火山であるため常に注意が必要であるという状態です。かつて2000年から2001年にかけて、富士山の直下で低周波地震が多発した時期がありましたが、現在は沈静化しており、静穏な状態が続いています。
しかし、前兆現象から噴火までのリードタイム(猶予時間)がどのくらいあるかは、その時のマグマの上がり方によります。数週間前から予兆がある場合もあれば、数時間前まで分からない可能性もゼロではありません。だからこそ、平時からの備えと、正しい情報の入手方法を知っておくことが不可欠です。

富士山は活火山か休火山かどっち?正しく恐れるための防災知識
ここまで、富士山が「活火山」であること、そしてそのリスクについて解説してきました。しかし、いたずらに不安を煽ることが目的ではありません。重要なのは「正しく恐れる」ことです。活火山との共生は、日本に住む以上避けられないテーマです。
このセクションでは、私たちが具体的にどのような準備をすべきか、万が一の時にどのように行動すべきか、防災の観点から解説します。富士山が活火山か休火山か「どっち?」と迷っていた段階から一歩進んで、「活火山だからこそ、こう備える」というアクションに繋げましょう。
個人でできる備えとハザードマップの活用法
富士山の噴火災害は、住んでいる場所によって想定される被害が全く異なります。山麓エリアでは溶岩流や火砕流への警戒が必要ですが、首都圏などの遠隔地では、主に「降灰(火山灰)」への対策が中心となります。
1. ハザードマップで自宅のリスクを確認する まずは、先ほど紹介した最新のハザードマップでお住まいの地域を確認してください。「自分の家には溶岩が来る可能性があるのか」「どれくらいの灰が積もる予測なのか」を知ることがスタートです。
2. 降灰対策グッズの備蓄(首都圏・広域向け) 首都圏で最も警戒すべきは火山灰です。わずか数ミリの積灰でも鉄道が止まり、物流がストップする可能性があります。以下の物資を備蓄しておきましょう。
- 水・食料: 物流停止に備え、最低3日分、できれば1週間分。
- マスク・ゴーグル: 火山灰を吸い込んだり、目に入ったりするのを防ぐため。防塵マスク(N95など)が理想的ですが、不織布マスクでも重ねれば一定の効果があります。
- ラップ・テープ: 電子機器(パソコンやテレビ)の隙間を塞ぎ、灰の侵入による故障を防ぐため。
- 常備薬: 物流が止まると薬が手に入りにくくなります。
- 携帯トイレ: 停電や断水でトイレが使えなくなる可能性があります。
3. 避難計画の確認(山麓エリア向け) 溶岩流などの到達が予想される地域の方は、避難場所と避難経路の確認が必須です。
- 「逃げる方向」を確認: 溶岩流は高いところから低いところへ流れます。溶岩流の流下方向に対して直角方向(横へ)に逃げるのが基本ですが、地形によって異なります。自治体の避難計画に従ってください。
- 車での避難の可否: 原則として避難は徒歩が推奨される場合が多いですが、富士山噴火の場合は広域避難となるため、段階によっては車避難が認められる計画もあります。ただし、降灰後は道路が滑りやすくなり、車が使えなくなる可能性が高いため、早めの判断が重要です。
噴火速報や警戒レベルの意味を知っておこう
いざという時、情報は命綱です。気象庁が発表する情報にはいくつかの種類があります。これらを正しく理解しておくことで、パニックにならずに行動できます。
- 噴火警戒レベル: 1(留意)から5(避難)までの5段階。
- レベル3(入山規制)が出たら、登山者は下山し、火口に近い居住者は避難準備。
- レベル4(避難準備)やレベル5(避難)が出たら、対象地域の方は直ちに避難行動を開始します。
- 噴火速報: 登山者や周辺住民に、噴火発生の事実をいち早く伝える速報。スマホのエリアメールなどで通知されます。これを受け取ったら、まずは身の安全を確保し、詳細情報を確認します。
- 降灰予報: 噴火後、風向きによってどこに、どれくらいの灰が降るかを予測する情報。天気予報のように定期的に更新されます。これを見て、洗濯物を取り込む、外出を控えるなどの判断をします。
重要なのは、SNSなどの不確かな情報(デマ)に惑わされず、気象庁や自治体からの公式情報を参照することです。「富士山噴火」は注目度が高いため、フェイクニュースが拡散しやすいテーマでもあります。信頼できる情報源をブックマークしておきましょう。
富士山の活火山・休火山についてのまとめ
今回は、富士山が「活火山」と「休火山」のどっちに分類されるのか、その定義の変遷や最新のリスクについて幅広く調査し、お伝えしました。以下に、今回の内容を要約します。
・現在、富士山は明確に「活火山」と定義されており、休火山や死火山ではない
・「休火山」「死火山」という用語は、誤解を招くため学術的には廃止された
・活火山の定義は2003年に「概ね過去1万年以内に噴火した火山」に変更された
・1979年の御嶽山の噴火が、古い分類(死火山)を見直す大きなきっかけとなった
・富士山は過去3200年間に100回以上噴火しており、本来は非常に活動的な火山である
・現在の約300年間の沈黙は、長い活動史の中では一時的な休止期に過ぎない
・平安時代の貞観噴火では、大量の溶岩が流出し青木ヶ原樹海を形成した
・江戸時代の宝永噴火では、大量の火山灰が江戸(東京)に降り注ぎ甚大な被害を出した
・2021年のハザードマップ改定で、溶岩流の到達予想範囲が神奈川県まで拡大した
・現在は24時間体制で監視されており、噴火警戒レベルは1(平常)である
・噴火の前兆として、火山性地震や山体膨張などが観測される可能性が高い
・山麓住民は溶岩流への避難計画、首都圏住民は降灰への備蓄対策が必要である
・「富士山は休火山」という古い知識をアップデートし、次世代へ正しい知識を伝えるべき
・正しく恐れ、ハザードマップを確認することが、命を守る第一歩となる
富士山はその美しさゆえに、私たちがその恐ろしい一面を忘れがちな存在です。 しかし、大自然のサイクルの中で、いつか必ず目覚める時が来ます。 その時に慌てず冷静に行動できるよう、今のうちから正しい知識と備えを持っておくことが、私たちにできる最大の防災です。
こちらの動画では、2021年のハザードマップ改定に伴い、溶岩流の到達予測時間が短縮されたことや、それに伴う避難計画(原則徒歩避難への変更など)の見直しについて詳しく解説されています。記事内で触れた「ハザードマップの改定」を視覚的に理解するのに最適です。
【富士山噴火対策】ハザードマップ改定で溶岩流到達時間早める地域も(ANNニュース) https://www.youtube.com/watch?v=UidlyuaxGgQ


