前澤友作さんの宇宙の話って、ニュースで何度も見たはずなのに「結局いつ行ったんだっけ?」「月に行く話はどうなったの?」と、記憶が曖昧になりがちですよね。検索してここに来た方も、たぶんそのあたりを一度すっきり整理したいんだと思います。
先に結論です。前澤さんが実際に宇宙へ行ったのは、2021年12月の国際宇宙ステーション(ISS)滞在。一方、よく一緒に語られる月周回旅行「dearMoon」は計画だけで終わり、2024年6月に中止になりました。この2つが混ざって「いつ行ったの?」が分からなくなる、というのが正体です。
ここでは、ISSへ行った正確な日程・費用・同行者・現地での活動、そして幻に終わった月旅行の中止理由まで、公式発表と当時の報道を時系列で整理します。
前澤友作が宇宙へ行ったのはいつ?ISS滞在(2021年12月)
テレビやネットで見た、前澤さんが無重力でふわふわ浮きながら笑顔で話す映像。あれが「実際に宇宙へ行った」ときの記録です。利用したのはロシアの宇宙船ソユーズで、日本の民間人がISSに滞在した初の事例でした。

打ち上げから帰還までの日程
打ち上げは日本時間の2021年12月8日午後4時38分。カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から、前澤さんを含む3名を乗せたソユーズMS-20が打ち上げられました。約6時間半の飛行を経て、同日午後10時41分にISSとドッキング。ハッチが開いて前澤さんがISS内に入ったのは、日付が変わった12月9日の午前1時過ぎでした。
このとき地球との交信で発した第一声が「着いたよ、宇宙だよ! 着いちゃったよ〜」。続けて「本当にあったよ、宇宙が」と興奮気味に語った様子が、多くの人の記憶に残っています。
滞在はおよそ12日間。地球への帰還は12月20日で、ソユーズがISSから分離し、大気圏再突入を経て同日昼過ぎにカザフスタンの平原へパラシュート着陸しました。観光目的の民間人がこれだけの期間、職業宇宙飛行士と生活を共にするのは、当時としてかなり異例の長さです。
費用と、半年がかりの訓練
気になる費用ですが、契約金額そのものは公表されていません。複数の海外メディアの分析と前澤さん自身の発言から、ISS滞在にかかった額は同行者2人分で約100億円とされています。渡航費だけでなく、訓練費・サポート体制・保険なども含めた総額という位置づけです。
そして、お金を払えば行ける、という単純な話でもありませんでした。前澤さんは渡航の約半年前から準備に入り、ロシアの「星の街」にあるガガーリン宇宙飛行士訓練センターで約100日間の集中訓練を受けています。打ち上げ時の重力に耐える遠心加速器、平衡感覚を鍛える回転椅子、緊急脱出のシミュレーション、ロシア語での計器操作の習得まで、内容は職業宇宙飛行士に準じるものでした。
同行者の平野陽三さんとソユーズMS-20
今回のミッションには、前澤さんのアシスタントで映像プロデューサーの平野陽三さんも同乗しました。役割は宇宙での活動の記録・撮影に加え、医学データの提供。民間人2名が同時にISSへ渡航・滞在するのは世界初で、私たちが高画質な映像で宇宙生活を見られたのは平野さんの存在が大きいです。
2人を運んだソユーズは、1960年代から改良を重ねてきた信頼性の高い宇宙船です。船長を務めたのはロシアのベテラン宇宙飛行士アレクサンドル・ミスルキンさんで、操縦と2人の安全を一手に担いました。
ISSでの活動と発信力
前澤さんの宇宙旅行が他と違ったのは、発信力でした。「宇宙でやってほしい100のこと」を立ち上げ、一般から募ったアイデアをISS内で実際に試す、という企画です。
水を空中に浮かべて飲む、無重力でズボンを履くのに何分かかるか、地球を眺めながら絵を描く——日常の素朴な疑問から芸術的な試みまで、その様子は平野さんが撮影し、YouTubeで地上へ配信されました。宇宙開発に関心が薄かった層まで巻き込んだのは、この見せ方の力です。滞在中には「宇宙からお金贈り」企画も実施し、ネット上の話題をさらいました。各国の宇宙飛行士との交流もあり、持ち込んだ焼き鳥やサバの味噌煮といった日本食を振る舞う場面もありました。
月周回旅行「dearMoon」はなぜ実現しなかったのか
ISS旅行を成功させた前澤さんには、もう一つ壮大な計画がありました。イーロン・マスク氏のSpaceX社の次世代ロケット「Starship」を貸し切り、民間人だけで月を周回して帰ってくる「dearMoon」です。ただ、この計画を調べると「いつ行った?」ではなく「いつ行くはずだったか」という過去形にぶつかります。中止になったからです。
計画の概要
dearMoonの発表は2018年。前澤さんがSpaceX本社でマスク氏と記者会見を開き、世界初の民間人月周回旅行の主催者になると宣言しました。月面に着陸はしないものの、約1週間かけて月の裏側を回って戻る計画で、人類が月圏へ行くのは1972年のアポロ計画以来、約半世紀ぶりになるはずでした。
前澤さんは全席を確保し、自分のほかに世界から選んだ8名のアーティストと月へ行く構想を発表。宇宙でインスピレーションを受けた表現者が、地球に戻ってどんな作品を生むのか、というコンセプトでした。
中止に至った理由
当初は2023年中の打ち上げを目標にしていました。しかし2023年が終わってもロケットは飛ばず、2024年6月1日、前澤さんはSNSでdearMoonの中止を正式に発表します。
最大の要因はStarshipの開発遅延です。極めて野心的な設計のStarshipはNASAの月着陸計画アルテミスにも使われる中核ロケットで、無人試験では失敗を重ね、想定以上に時間がかかりました。2023年中の有人飛行は技術的に不可能となり、その先の見通しも立たない状況が続きます。前澤さんは「いつ飛べるのか見通しが立たない。これ以上クルーを待たせ続けるのは申し訳ない」という趣旨を説明しました。確約のない無期延期が続いたことが、決断の決め手だったといえます。
予定されていたクルー
中止にはなりましたが、クルーの顔ぶれは触れておく価値があります。2021年のクルー募集には世界249の国と地域から約100万件の応募が集まり、2022年12月に主要8名とバックアップ2名が発表されました。
最も注目されたのは、韓国のBIGBANGのメンバーT.O.P(チェ・スンヒョン)さん。世界的DJのスティーヴ・アオキさんも選ばれていました。ほかに宇宙系YouTuberのティム・ドッドさん、振付師のイェミ・A・Dさん、写真家のリアノン・アダムさんとカリム・イリヤさん、映像作家のブレンダン・ホールさん、インドの俳優デヴ・ジョシーさん。バックアップにはスノーボーダーのケイトリン・ファリントンさんと日本のダンサーMiyuさんが入っていました。中止発表後、T.O.Pさんは「人生最高の経験だった」と感謝を述べつつ、月への夢はまだ終わっていないと語っています。
よくある質問
Q. 前澤さんはまた宇宙に行く予定はありますか?
dearMoon中止後、新たな月旅行や宇宙渡航の具体的な計画は、本記事の時点では公式に発表されていません。本人は宇宙への意欲を語り続けてはいるので、今後の発表を待つかたちです。
Q. 100億円は誰が出したんですか?
前澤さん自身の資金です。ZOZOの売却などで得た資産を背景に、民間の宇宙旅行会社スペース・アドベンチャーズを通じて契約しました。金額は本人や複数メディアの情報からの推計で、正式な契約額は非公表です。
Q. ISS旅行とdearMoonは何が違うんですか?
行き先と乗り物が違います。ISSは地上約400kmの低軌道にある施設で、ソユーズで12日間滞在しました。dearMoonはそれよりはるかに遠い月を周回する計画で、SpaceXのStarshipを使う予定でした。実現したのが前者、中止になったのが後者です。
Q. dearMoonのクルーはその後どうなりましたか?
プロジェクト自体が解散したため、月へは行っていません。各メンバーはそれぞれの活動に戻り、SNSで前澤さんへの感謝や、いつか月へという思いを語っています。
まとめ
前澤友作さんの宇宙の話を整理すると、こうなります。
- 実際に宇宙へ行ったのは2021年12月のISS滞在(ソユーズMS-20・約12日間)
- 費用は2人分で約100億円とされ、半年がかりの訓練を経ての渡航だった
- 同行者は平野陽三さんで、民間人2名同時のISS滞在は世界初
- 月周回の「dearMoon」は2018年発表・2023年予定だったが、Starshipの開発遅延で2024年6月に中止
- 月へ行くはずだったクルーにはBIGBANGのT.O.Pやスティーヴ・アオキらがいた
月への旅は幻に終わりましたが、前澤さんがISSで残した発信は、宇宙を「選ばれた人だけの場所」から少し身近な目的地へと動かしました。「いつ行ったの?」と迷ったときは、行けたのがISS、行けなかったのが月、とだけ覚えておけば十分です。次に彼がどんな挑戦を見せるのか、そこも気長に見ていきたいですね。


