銀河系軍団レアルのフォーメーションは?最強時代の戦術を幅広く調査!

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サッカー界において「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」という言葉は、単なるチームの愛称を超え、一つの時代を象徴するブランドとして刻まれています。2000年代初頭、レアル・マドリードはフロレンティーノ・ペレス会長の下、世界最高峰のスター選手を毎年のように獲得し、夢のようなスカッドを作り上げました。ジネディーヌ・ジダン、ルイス・フィーゴ、ロナウド、デビッド・ベッカム。彼らが同じピッチに立つ姿は、世界中のファンを熱狂させましたが、その裏には戦術的な苦悩やフォーメーションの試行錯誤があったことをご存知でしょうか。

スター選手を並べるだけでは勝てないのがサッカーの奥深さであり、銀河系軍団もまた、攻撃力と守備のバランスという永遠の課題に直面していました。当時の監督たちは、個性あふれる天才たちをどのように配置し、チームとして機能させようとしたのでしょうか。

本記事では、銀河系軍団と呼ばれた時代のレアル・マドリードのフォーメーションや戦術、そしてそれが現代サッカーに与えた影響について、詳細に解説していきます。

銀河系軍団レアルの歴代フォーメーションと戦術的特徴

銀河系軍団の最大の特徴は、圧倒的な個の力に依存した攻撃的なサッカーでした。しかし、その輝かしい攻撃陣を支えるためのフォーメーションは、獲得選手の変化とともに変遷を遂げていきました。ここでは、主要なフォーメーションとその戦術的なメカニズムを紐解いていきます。

チャンピオンズリーグ制覇を成し遂げた4-2-3-1のバランス

銀河系軍団の初期、特に2001-2002シーズンにUEFAチャンピオンズリーグを制覇した頃のチームは、比較的バランスの取れた4-2-3-1(あるいは4-4-2の変形)を採用していました。この時期の鍵を握っていたのは、クロード・マケレレという守備的ミッドフィルダーの存在です。

当時のフォーメーションは、最終ラインにイエロやエルゲラを配置し、中盤の底にマケレレともう一人のパートナー(例えばフラビオ・コンセイソンやグティなど)を置く形が基本でした。そして、攻撃的MFの位置にはジダンが君臨し、左サイドにソラーリやサビオ、右サイドにフィーゴ、最前線にラウールとモリエンテス(後にロナウド)といった配置が見られました。

このシステムの肝は、左サイドバックのロベルト・カルロスの超攻撃的な上がりを、マケレレが中盤の底でカバーするという補完関係にありました。ジダンが左サイド寄りのトップ下でタメを作り、その外側をロベルト・カルロスが弾丸のように駆け上がる攻撃は、当時のレアル・マドリードの必勝パターンでした。この時期はまだ「守備をする選手」と「攻撃をする選手」の役割分担が明確であり、銀河系軍団の中でも最も機能美を感じさせる時代だったと言えます。

ベッカム加入後の「中盤の底」問題とフォーメーションの歪み

2003年、デビッド・ベッカムの加入は、商業的には大成功を収めましたが、戦術的には大きなパズルを監督に突きつけることになりました。本来右サイドハーフを主戦場とするベッカムですが、そこには既に絶対的な存在であるルイス・フィーゴがいました。

この問題を解決するために採用されたのが、ベッカムをボランチ(センターハーフ)の一角に配置するシステム、あるいはフィーゴを左に回すなどの配置転換でした。しかし、最も大きな痛手は、ベッカム加入と入れ替わるようにチームを去ったマケレレの不在でした。「エンジンのないフェラーリ」と揶揄されたように、守備のフィルター役を失ったチームは、攻撃偏重のバランス崩壊を招きます。

この時期のフォーメーションは、数字上は4-4-2や4-2-3-1に見えますが、実態は4-1-5や4-0-6とも言える極端な前掛かりの陣形になることが多々ありました。中盤の守備強度が低下したため、最終ラインのパボンやラウール・ブラボといった若手選手(「ジダネス・イ・パボネス」政策によるカンテラ出身者)に過度な負担がかかり、大量得点する一方で失点も多いという、大味な試合運びが目立つようになりました。

攻撃的すぎる4-1-3-2と「銀河系」の限界

銀河系軍団の後期において、攻撃力を最大化しようと試みられたのが、中盤に攻撃的タレントをずらりと並べた4-1-3-2のようなシステムです。グティやカンビアッソがアンカー気味に入り、その前にベッカム、ジダン、フィーゴが並び、前線にロナウドとラウールが構えるという布陣です。

ボールを保持している時は、世界中のどのチームも止められないほどのパスワークとイマジネーションを発揮しました。ジダンの優雅なボールキープ、フィーゴのドリブル突破、ベッカムの正確無比なロングパス、そしてロナウドの決定力。これらが噛み合った時の破壊力は凄まじいものがありました。

しかし、現代サッカーでは常識となっている「前線からの守備」や「ネガティブ・トランジション(ボールを奪われた直後の切り替え)」という概念が、このチームには希薄でした。スター選手たちは守備に奔走することを良しとせず、またその体力的なリソースも攻撃に残しておきたいと考えていました。その結果、中盤のスペースは対戦相手にとって格好の攻略ポイントとなり、組織的な守備ブロックを作る相手に対してカウンターで沈むケースが増加していきました。

戦術的柔軟性の欠如と監督たちの苦悩

デル・ボスケ監督の解任後、カルロス・ケイロスやカマーチョ、ルシェンブルゴといった多くの監督が指揮を執りましたが、彼らに共通していた悩みは「スター選手を外せない」という政治的な制約と、戦術的な最適解の乖離でした。

フォーメーションを変更しようにも、ベンチに置くことが許されない選手が4人も5人もいる状況では、戦術の幅は極めて限定的になります。例えば、守備を安定させるために守備的MFを2枚に増やしたくても、そのためにはジダン、フィーゴ、ベッカム、ラウール、ロナウドのうち誰かをベンチに下げなければなりません。これは当時のクラブ方針として事実上不可能でした。

結果として、フォーメーションは選手ありきで決定され、対戦相手に合わせた柔軟な戦術変更や、試合展開に応じた修正が困難になりました。これは、銀河系軍団が個の能力の総和以上のチーム力を発揮しきれなかった大きな要因の一つとして、サッカー戦術史において語り継がれています。

銀河系軍団レアルを支えたスター選手とフォーメーションの関係

銀河系軍団のフォーメーションを語る上で、それを構成していた個々のスター選手の役割と特異性を無視することはできません。彼らは既存のポジションの枠に収まらないプレーを見せ、それがチームの形を決定づけていました。ここでは、主要選手とフォーメーションの相互関係について深掘りします。

ジネディーヌ・ジダン:左サイド起点のフリーマン

ジネディーヌ・ジダンのポジションは、フォーメーション図の上では左サイドハーフやトップ下として表記されることが多かったですが、実際のプレーエリアはピッチ全体に及んでいました。彼は左サイドから中央に入り込み、ゲームを組み立てる「プレーメーカー」としての役割を担っていました。

彼が左サイドから中央へ移動することで、左サイドバックのロベルト・カルロスがオーバーラップするための広大なスペースが生まれます。この「ジダンが内に入り、ロベルト・カルロスが外を駆け上がる」というメカニズムは、銀河系軍団の最大の武器であり、フォーメーション上の構造的な強みでした。

しかし、ジダンが中央で自由を与えられすぎると、守備時に左サイドのスペースが空きやすくなるというリスクも孕んでいました。相手チームはこのスペースを徹底的に狙い、カウンターの起点としました。ジダンの守備免除は攻撃の芸術性を高める一方で、チーム全体の守備組織には歪みを生じさせていたのです。

ロナウドとラウール:異なるタイプの2トップ

最前線を務めた「フェノーメノ(怪物)」ロナウドと、レアルの象徴であるラウール・ゴンサレスの関係性も、フォーメーションに大きな影響を与えました。ロナウドは圧倒的なスピードとフィジカル、そして決定力を持つ純粋なストライカーであり、常にゴールに直結するプレーを選択しました。

一方のラウールは、セカンドトップとして絶妙なポジショニングを取り、中盤と前線のリンクマンとしての役割を果たしました。彼は献身的な守備も厭わず、スペースへの飛び出しや周囲を活かすプレーに長けていました。この二人の補完関係は良好でしたが、フォーメーション全体で見ると、前線に守備をしないロナウドがいることで、ラウールの守備負担が過剰になる場面も見受けられました。

また、オーウェンが加入した時期などは、FWの枚数が過多となり、誰を起用するか、あるいは3トップにするかといった議論が常に巻き起こりました。結果的に、攻撃のタレントを詰め込むあまり、中盤の構成力が犠牲になるというジレンマは、FW陣の豪華さゆえの悩みでもありました。

ルイス・フィーゴとデビッド・ベッカム:右サイドの最適解

銀河系軍団のフォーメーションにおいて、最も議論を呼んだのが右サイドの問題です。バロンドール受賞者であるルイス・フィーゴは、右サイドからのドリブル突破とクロスを最大の武器としていました。しかし、後に加入したベッカムもまた、右サイドからのアーリークロスを得意とする選手でした。

同じポジションに世界最高峰の二人が重なったことで、チームは歪な形を強いられました。ベッカムがボランチに入り、フィーゴが右サイドに残る形が多く採用されましたが、ベッカムの守備力や運動量は評価されたものの、彼の最大の武器であるクロスボールを供給する機会は減少しました。

逆に、フィーゴが左サイドに回ることもありましたが、彼のプレースタイルである縦への突破力は、右サイドにいてこそ最大化されるものでした。右利きの彼が左に置かれると、どうしてもカットインして中央に寄るプレーが増え、ジダンとのプレーエリアの重複を招くことになりました。このように、スター選手同士の「共存」を優先させたフォーメーションは、個々の能力を100%引き出す環境とは言い難い側面がありました。

まとめ:銀河系軍団レアルのフォーメーションから見るサッカーの歴史

銀河系軍団レアルのフォーメーションについてのまとめ

今回は銀河系軍団レアルのフォーメーションについてお伝えしました。以下に、今回の内容を要約します。

・銀河系軍団とは2000年代初頭のスター選手を集めたレアル・マドリードを指す

・初期の4-2-3-1フォーメーションは攻守のバランスが最も取れていた

・マケレレという守備的MFの存在がスター軍団を影で支えていた

・ジダンとロベルト・カルロスの左サイドの連携は史上最高の攻撃ユニットだった

・ベッカム加入により中盤の守備バランスが崩れ攻撃偏重となった

・フィーゴとベッカムの共存問題が戦術的な最適解を難しくさせた

・「ジダネス・イ・パボネス」政策により守備陣の層が薄くなった

・4-1-3-2のような攻撃的な布陣はスペクタクルだが脆さも同居していた

・スター選手を外せない政治的理由が戦術的な柔軟性を奪った

・個の能力は圧倒的だったが組織的な守備戦術は確立されなかった

・当時の失敗と成功は現代のビッグクラブのチーム作りの教訓となっている

・商業的な成功と競技的な結果の両立の難しさを浮き彫りにした

銀河系軍団の時代は、サッカーが単なるスポーツから世界規模のエンターテインメントビジネスへと変貌を遂げた転換点でもありました。彼らが見せた儚くも美しい攻撃サッカーは、今なお多くのファンの記憶に鮮烈に残っています。現代の戦術論とは異なる、ロマンに満ちたフォーメーションの歴史を知ることで、サッカー観戦がより深まることでしょう。

こちらに、銀河系軍団当時のレアル・マドリードについて解説している日本語の動画(WOWOWオフィシャル)を紹介させていただきます。当時の熱狂や雰囲気がよく分かる内容となっています。

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