銀河の数は8兆個あるのか?宇宙の壮大なスケールを幅広く調査!

宇宙

夜空を見上げるとき、私たちはそこに広がる無限の宇宙に思いを馳せます。かつて数千個程度しか目視できないと思われていた星々の向こう側に、どれほどの銀河が存在しているのか。これは天文学における最大級の問いの一つです。近年の研究では、観測技術の飛躍的な進歩により、その推定数は劇的に変化してきました。「数千億個」と言われていた時代から、「2兆個」という驚愕の数字が発表され、さらには理論上、それをも上回る「8兆個」といった天文学的な数字さえ議論の対象となることがあります。

本記事では、宇宙に存在する銀河の数は本当に8兆個にも及ぶのか、あるいはそれ以上なのか、最新の天文学的知見と観測データを基に徹底的に掘り下げていきます。観測可能な宇宙の限界、見えない銀河の謎、そして天文学者たちがどのようにしてこの途方もない数を計算しているのか。宇宙の真の姿に迫る知的探求の旅へご案内します。

銀河の数が8兆個という可能性はあるのか?現在の定説と最新研究

宇宙の広さは人間の想像を遥かに超えています。その中で「銀河の数」を特定することは、砂浜にある砂粒の数を数えるよりも困難な作業です。ここでは、現在主流となっている説と、なぜ「8兆」という数字がキーワードとして浮上してくるのか、その背景にある科学的根拠と研究の変遷について詳しく解説します。

昔の定説「1000億個」から「2兆個」への劇的な変化

20世紀後半、ハッブル宇宙望遠鏡が軌道に乗る前までは、宇宙には約1000億個程度の銀河が存在すると考えられていました。これは当時の観測技術で見える範囲と、理論的なモデルに基づいた推定値でした。しかし、1990年代にハッブル宇宙望遠鏡が「ハッブル・ディープ・フィールド」と呼ばれる、一見何もない暗闇の領域を長時間露光で撮影したことにより、状況は一変します。その画像には、無数の銀河が宝石のように散りばめられていたのです。

この衝撃的な画像により、推定値は「数千億個」へと修正されました。さらに時は流れ2016年、英国ノッティンガム大学のクリストファー・コンセリス教授らの研究チームが、驚くべき発表を行いました。彼らはハッブル宇宙望遠鏡の深宇宙画像やその他のデータを3Dモデル化し、数学的な解析を行った結果、「観測可能な宇宙には少なくとも2兆個の銀河が存在する」という結論を導き出したのです。これは従来の定説の10倍から20倍にあたる数字であり、天文学界に激震を走らせました。

この「2兆個」という数字は、現在我々が見ることのできる明るい銀河だけでなく、遠方の宇宙に存在する非常に暗く小さな銀河も含めた推定値です。初期宇宙には、現在よりもはるかに多くの小さな銀河が存在し、それらが時間の経過とともに衝突・合体を繰り返して現在の巨大な銀河へと成長していったと考えられています。つまり、過去に遡れば遡るほど、銀河の「数」自体は多かった可能性があるのです。

なぜ「8兆」やそれ以上の数字が議論されるのか

では、今回のテーマである「銀河の数8兆」という数字はどこから来るのでしょうか。これには「観測可能な宇宙」と「全宇宙」の区別、そしてシミュレーション技術の進化が関係しています。

2016年の「2兆個」という発表以降も、研究は止まっていません。一部の理論モデルや、より微細な矮小銀河(わいしょうぎんが)までを含めた計算では、銀河の総数はさらに跳ね上がる可能性があります。特に、現在の観測機器では捉えきれない極めて暗い銀河や、塵に隠された銀河を考慮に入れると、その数は数兆のオーダーで変動します。

また、「8兆」という数字は、観測可能な範囲を超えた「全宇宙」を想定した際の仮説的な数値として、あるいは矮小銀河の分布密度をより高く見積もったシミュレーションにおいて現れるオーダーの一つとして捉えることができます。宇宙論的なインフレーション理論に基づけば、宇宙は観測可能な範囲よりも遥かに広大であるため、そこに存在する銀河の総数が2兆を遥かに超え、8兆、あるいはそれ以上であったとしても不思議ではありません。このように、数字が一人歩きするのではなく、どのような「範囲」と「対象」を定義するかによって、銀河のカウント数は劇的に変わるのです。

観測可能な宇宙と観測不可能な宇宙の決定的な違い

銀河の数を語る上で避けて通れないのが、「観測可能な宇宙」という概念です。宇宙は約138億年前に誕生したと考えられていますが、光の速さは有限であるため、私たちが観測できるのは光が地球に届く範囲、つまり「半径約465億光年」の球体の内部に限られます。これを「観測可能な宇宙」と呼びます。

私たちが普段ニュースなどで耳にする「銀河の数」は、あくまでこの「観測可能な宇宙」の中にいくつあるか、という推定値です。しかし、宇宙そのものはこの境界線の外側にも広がっていると考えられています。宇宙の膨張速度が光速を超えている領域や、あまりにも遠すぎて光がまだ届いていない領域を含めた「全宇宙」のサイズは、一説には観測可能な宇宙の数百万倍、あるいは無限大であるとも言われています。

もし「銀河の数8兆」という数字が、この観測不可能な領域までを含めた推論であるならば、8兆どころか、京、垓といった単位でも足りないほどの銀河が存在する可能性があります。しかし、科学的に検証可能な数字として議論する場合、天文学者は慎重に「観測可能な範囲」での密度を計算し、それを基に議論を展開します。8兆という数字は、我々がまだ見ぬ宇宙の深淵に潜む、未発見の微小銀河たちを含めた、ある種の「可能性の指標」として極めて興味深い数値なのです。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がもたらす新たな視点

2021年に打ち上げられ、本格的な運用が始まったジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は、銀河の数の推定に新たな革命をもたらしつつあります。ハッブル宇宙望遠鏡よりも遥かに高い感度と、赤外線観測能力を持つJWSTは、宇宙の誕生から数億年後という極めて初期の銀河を次々と発見しています。

JWSTのデータは、初期宇宙には予想以上に成熟した銀河が存在していたことを示唆しており、これは従来の銀河形成理論に修正を迫るものです。もし初期宇宙の銀河形成が予想より活発だったのであれば、これまで見落とされていた小さな銀河が大量に存在する可能性が高まります。逆に、一部の観測データ(ニュー・ホライズンズ探査機による宇宙背景光の測定など)からは、「宇宙は意外と暗いかもしれない=銀河の数は2兆個よりも少ないかもしれない(数千億個レベルに戻る可能性)」という示唆も得られています。

このように、最新鋭の望遠鏡であっても、銀河の正確な数を確定させることは容易ではありません。「2兆個」が正しいのか、それとも修正されて「数千億」になるのか、あるいは見えない物質を含めて「8兆」の可能性が残るのか。現在進行形でデータが更新され続けている、まさに天文学の最前線と言えるでしょう。

銀河の数8兆個を数える方法と天文学の課題

これほど膨大な数の銀河を、天文学者たちは一体どのようにして数えているのでしょうか。夜空の星を指で数えるように、一つ一つカウントしているわけではありません。ここでは、天文学における統計的な手法と、銀河カウントを阻む物理的な壁、そして「8兆」という数字の確からしさを検証する上での課題について解説します。

天文学者はどうやって銀河を数えているのか

銀河の数を数える基本的な手法は、「サンプリング(標本調査)」です。全天の星をすべて数えるのは不可能なため、天文学者は空の非常に狭い領域(例えば、満月の大きさの何十分の一という範囲)を選び、その部分だけを徹底的に長時間観測します。

  1. ディープ・フィールド観測: ハッブル宇宙望遠鏡やジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使い、何日もかけて同じ場所を撮影し続けます。これにより、肉眼では絶対に見えない、極めて遠く、暗い銀河までを捉えます。
  2. 個数のカウント: その狭い領域に写っている銀河の数を数えます。
  3. 全天への拡張: 観測した領域が宇宙全体の平均的な姿であると仮定し、その領域が全天のどれくらいの割合に当たるかを計算します。そして、カウントした数を全天分に掛け合わせることで、宇宙全体の銀河の総数を推定します。

この手法は、アンケート調査で一部の人の意見から国民全体の意識を調査するのと似ています。しかし、宇宙には「宇宙原理(宇宙はどこでも大体同じである)」という前提があるとはいえ、場所によって銀河の密度に濃淡がある「大規模構造」が存在するため、どの領域を選ぶかによって誤差が生じます。また、遠くの銀河ほど光が弱く、赤方偏移によって赤外線領域にズレ込むため、完璧に捉えることは困難を極めます。

見えない銀河「ダークギャラクシー」と矮小銀河の存在

銀河の数が「2兆」や「8兆」といった議論になる際、鍵を握るのが「見えにくい銀河」の存在です。私たちが通常「銀河」と呼んでイメージするのは、天の川銀河やアンドロメダ銀河のような、数千億の星を含む巨大な渦巻銀河や楕円銀河です。しかし、宇宙にはこれらよりも遥かに小さく、暗い「矮小銀河(ドワーフギャラクシー)」が大量に存在します。

矮小銀河は星の数が少なく、光も弱いため、遠方にあるものは現在の技術ではほとんど観測できません。しかし、銀河形成の理論上、巨大銀河の周囲には多数の矮小銀河が存在しているはずです。天の川銀河の周りにも大小マゼラン雲などの衛星銀河がありますが、未発見の極小銀河がまだ隠れている可能性があります。

さらに、星をほとんど含まず、ガスとダークマター(暗黒物質)だけで構成された「ダークギャラクシー」の存在も理論的に予言されています。これらは光を出さないため、光学的な望遠鏡ではカウントされません。もし「銀河」の定義を、こうした星を含まない、あるいは極端に星が少ない暗黒物質の塊まで拡張するならば、その数は8兆個どころではない桁違いの数になるでしょう。キーワードである「銀河の数8兆」は、こうした通常観測にかからない極小・極暗の天体までを含めた推計値として見ることもできるのです。

宇宙の膨張と光の限界が隠す真実

銀河の数を数える上で最大の壁となるのが、宇宙の膨張です。遠くの宇宙を見るということは、過去の宇宙を見るということです。130億光年彼方の銀河を見る時、私たちは130億年前のその銀河の姿を見ています。

しかし、宇宙は加速膨張しているため、遠くにある銀河ほど速いスピードで私たちから遠ざかっています。これにより、遠方の銀河から発せられた光は波長が引き伸ばされ(赤方偏移)、可視光線から赤外線、さらには電波へと変化し、極めて観測しにくくなります。

また、宇宙の初期には、中性水素ガスが光を遮る「宇宙の暗黒時代」や、その霧が晴れる「再電離」という時期がありました。この時期に存在したはずの初代銀河たちは、非常に小さく、淡いため、現代の技術をもってしてもその全貌を捉えることは困難です。

さらに、「表面輝度」の問題もあります。銀河全体としての光量はあっても、それが広い範囲に薄く広がっている場合、夜空の背景の暗さに溶け込んでしまい、望遠鏡では認識できないことがあります。これまで「何もない」と思われていた空間に、実は薄く広がった銀河が無数に存在している可能性は否定できません。こうした「見逃されている銀河」を統計的に補正し、理論値を加算していくと、推定値は数千億から数兆、そして8兆へと近づいていく可能性があるのです。

銀河の数8兆の真偽と宇宙の未来についてのまとめ

ここまで、銀河の数にまつわる様々な説と、観測の難しさについて解説してきました。かつて1000億個と言われた銀河の数は、観測技術の向上とともに2兆個へと修正され、さらに見えない領域や理論的な推計を含めると8兆個という可能性も示唆されています。しかし、確実なことは「宇宙は私たちが知っているよりも遥かに豊かで、多くの天体で満ち溢れている」という事実です。

銀河の数8兆についてのまとめ

今回は銀河の数8兆についてお伝えしました。以下に、今回の内容を要約します。

・20世紀後半までは、宇宙の銀河の数は約1000億個程度というのが定説だった

・1990年代のハッブル・ディープ・フィールドの観測により、その数は数千億個へと修正された

・2016年の研究で、観測可能な宇宙には少なくとも2兆個の銀河があるとの発表がなされた

・2兆個という数字は、遠方の微弱な銀河や初期宇宙の小さな銀河を含めた推計値である

・キーワードである「8兆」は、観測不可能な矮小銀河などを考慮した理論的上限の可能性がある

・宇宙のインフレーション理論を考慮すれば、全宇宙の銀河数は8兆を遥かに超えるとも考えられる

・銀河の数は、空の一部分を切り取って数え、それを全天に拡大するサンプリング手法で計算される

・遠方の銀河は光が弱く赤方偏移するため、実際の数よりも少なく観測されがちである

・星が極端に少ないダークギャラクシーや矮小銀河は、現在の技術ではカウント漏れしやすい

・ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の登場により、初期宇宙の銀河カウントが現在進行形で精査されている

・ニュー・ホライズンズなどのデータからは、逆に銀河の数は2兆個より少ないという説も出ている

・「銀河」の定義や、観測可能な限界をどこに設定するかで、その数は桁違いに変動する

・宇宙の加速膨張により、永遠に観測できない銀河が多数存在することは確実である

・8兆個という数字は確定した事実ではないが、宇宙の計り知れないスケールを示す指標の一つである

・今後の観測技術の進歩により、この数字はさらに更新され、新たな宇宙像が描かれるだろう

銀河の数が2兆個であれ、8兆個であれ、その一つ一つに数千億の星が含まれているという事実は、私たちに畏敬の念を抱かせます。 広大な宇宙の中で、私たちが住む天の川銀河はほんの一粒の砂に過ぎないのかもしれません。 これからの天文学がどのような新しい数字と真実を私たちに見せてくれるのか、夜空を見上げながら楽しみに待ちたいものです。

最後に、今回のテーマに関連するおすすめの動画を紹介します。 宇宙の規模と銀河の数について視覚的に理解できる素晴らしいコンテンツです。

【YouTube】The Hubble Deep Field: Looking Back In Time (NASA Goddard) https://www.youtube.com/watch?v=Gr_AF_AB1AU

タイトルとURLをコピーしました